不動産投資用物件を家族に貸すことはできる
就職や結婚による子どもの独立、仕事の都合による配偶者との別居など、さまざまな理由から不動産投資用物件を家族に貸すケースがあります。家族に不動産投資用物件を貸すことは原則可能です。
ただし、状況によっては貸すことができないケースもあります。たとえば、不動産投資ローンの返済中に無償で家族に貸す場合です。不動産投資ローンは賃貸収益を得る前提で審査されます。契約内容によっては、無償で貸すことを問題視されるケースがあるため、前もって金融機関に問い合わせておくと安心です。
不動産投資ローンを完済している場合や、賃料を受け取っている場合には、契約上の心配はありません。

家族に不動産投資用物件を貸すときに注意しておくこと
家族を支援したいという思いから、不動産投資用物件を家族に貸すことを検討する方もいるでしょう。しかし、家族間だからこそ注意すべき点があり、不動産投資としてのリスクも存在します。
ここでは、家族に不動産投資用物件を貸す際に押さえておくべき注意点を解説します。
事前に注意点を理解しておけば、貸し出した後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、注意点を踏まえて話し合いやルール作りを丁寧に行うことで、安心して貸し出せます。
家族から家賃の交渉をされやすい
家族に不動産投資用物件を貸す場合、他人よりも遠慮のない関係であることから「もう少し負担を下げてほしい」といった家賃の相談が起こりやすいものです。
不動産投資としての運用を念頭に置く場合、この交渉に安易に応じれば収益性が低下し、ローン返済計画にも影響を及ぼしかねません。また、固定資産税相当額以下の賃料にしてしまうと、オーナーが賃料を負担していると考えられ、使用賃借である(無償で賃貸している)とみなされてしまう可能性があります。その場合、固定資産税や減価償却費などを経費として計上できなくなるため注意が必要です。
これらの理由から、家族に貸す場合は、交渉されやすい状況であっても安易に応じないよう気をつけましょう。
賃貸を再開した際に賃料が下がりやすい
家族に不動産投資用物件を貸した後、一般募集に切り替える際に、高めの賃料に設定できないことがあります。これは、不動産の価値が経年とともに下がるためです。
たとえば、家族に無償で10年間貸した場合、その期間は収入が発生しないだけでなく、再募集に切り替える際に当時の賃料水準に戻して募集することもできません。無理に当時の水準へ賃料を引き上げたとしても、家賃相場より割高になり、入居者がなかなか決まらない可能性があります。
家族に不動産投資用の物件を貸すときは、将来再び募集することになった場合の賃料水準も考えた上で判断することが大切です。
入居者に退去してもらいにくい
家族に貸したくても、ちょうど空室があるとは限りません。満室の状態であれば、家族に貸すことは実質的に難しくなります。入居者の退去は、法律面でも実務面でも非常にハードルが高いためです。
賃貸借契約は入居者の生活を守る内容となっており、貸主側の都合で退去を求めることは原則認められません。クレームにつながる可能性が高いことから、管理会社としても入居者に退去を求める対応は避けたがる傾向があります。
裁判での強制退去であれば、オーナーやその家族の使用は正当事由に含まれるため、退去してもらえる可能性があります。しかし、正当事由があっても必ず認められるわけではありません。また、裁判には時間と費用がかかるため、実際に進める際は十分に検討した上で、専門家に相談することをおすすめします。
各種税金に注意が必要
先ほど、固定資産税が計上できない例を紹介したように、家族に不動産投資用物件を無償で貸す場合や、使用賃借とみなされるほど低い賃料で貸す場合には、以下のような扱いになる可能性があります。
- 相続税評価額の減額が受けられない
- 場合によっては贈与税の課税対象になる
- 諸費用や固定資産税などが経費として認められない
このことから、特に節税や相続税対策を目的に不動産投資を行っている場合は、固定資産税相当額以下の賃料で貸すことは避けることをおすすめします。

不動産投資で考えると空室があるよりはいい?
家族に貸すことで空室を避けられる点は魅力的に見えるものの、不動産投資の観点では「とりあえず埋める」という発想だけで判断するのは危険です。家族を支援したい気持ちから、通常より低い賃料を設定してしまいがちになり、その結果、長期的な収益が圧迫されて返済計画に支障をきたす場合があるからです。キャッシュフローが悪化し、結果的に物件を手放すことになっては、本来の投資目的を果たせません。
そのため、空室を埋める手段として家族に貸すことを選ぶよりも、入居者募集を強化したり、効果的な空室対策を講じたりする方が、長期的には収益性の向上につながります。

不動産投資物件にオーナーの家族が住むケースは少ない
不動産投資として運用している物件に家族が入居するケースはそれほど多くありません。大きな理由は、家族に貸すと賃料や契約内容を家族への配慮で決めてしまいがちになり、本来の投資判断が曖昧になってしまうためです。
また、オーナーの負担が大きくなる点も家族が住むケースが少ない理由として挙げられます。これまでにも解説しましたが、税務上のメリットが得られなかったり、空室の調整が必要になったりと、想定以上に負担がかかるケースもあります。
これらのことを踏まえ、十分に検討した上で家族に貸すかどうかを判断しましょう。
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賃貸併用住宅とは、同じ建物内にオーナーの居住部分と賃貸部分を持つ住宅のことです。アパートやマンションとは異なり、オーナーとその家族が住みながら賃貸経営を行えます。自己居住用部分があることを前提に計画するため、家族が住むにあたって空室調整やキャッシュフローの見直しを行う必要はありません。さらに、賃貸部分で賃貸経営ができるため、節税や相続税対策としても活用できます。

賃貸併用住宅は、各戸が独立した入口や設備を備えているため、将来的に二世帯住宅として利用しやすいというメリットがあります。子どもが独立した後は、賃貸としての運用をやめ、子どもとその家族に住んでもらうこともできます。
賃貸経営をしながら、オーナーとその家族が住みたい場合や、将来的に二世帯住宅として利用したい場合は、賃貸併用住宅も検討してみてはいかがでしょうか。
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