10年後を見据えたアパート経営のためにまずは収支の基本を知ろう
アパート経営の10年後を見据えた綿密な収支計画は、長期的に安定した経営につながります。初期投資の金額を適切に設定するだけでなく、アパート経営開始後の家賃収入や維持費などの収支を長期的に分析することで、より確実な収益化への道筋が見えてきます。しかし、多くの初心者がこの段階で見落としがちになるのが、予期せぬ支出や空室リスクへの備えです。
本コラムでは、アパート経営において初期の段階から注意すべき収支計画のポイントや、長期的な収益を確保するための考え方を詳しく解説していきます。10年後の将来に不安を感じている方は、ぜひ参考になさってください。
10年後もアパート経営で安定した収益が得られる計画のポイント
アパートローンの原資は家賃収入になるため、空室や予期せぬ支出は、最悪の場合ローン返済の滞納につながる可能性があります。しかし、収支計画を綿密に立てることでアパート経営のリスクを軽減できます。
まずは適正な返済比率(返済負担率)を設定しましょう。不動産投資における返済比率は、一般的に40~50%が理想的と言われています。この範囲内、またはそれ以下に設定することで、収益が多少下がったり急な出費が発生したりしても、赤字になりにくくなります。
※返済比率(返済負担率)・・・物件の家賃収入に対して融資返済額が占める割合
返済比率を設定するには、アパート経営における収支を把握する必要があります。想定賃料、維持費、修繕費、空室率などを考慮しながら、収支を試算しましょう。
なお、アパート経営の初年度は募集を開始してもすぐに入居者が決まるとは限らず、家賃収入が安定するまでに時間がかかる可能性があります。そのため、入居者が決まるまでの支出をどうカバーするかも収支計画に組み込んでおきましょう。こうした綿密な計画を立てることで、アパート経営のリスクを軽減し、10年後に安定した収益を得る基盤を構築することができます。
家賃収入と経費の収支バランスを見直す
空室や予期せぬ支出によって収支バランスが崩れれば、10年後のアパート経営に影響が出てしまうでしょう。長期的に収支バランスを保つためには、定期的な賃料の見直しが重要になります。地域の市場調査を行い、物件の経年劣化なども考慮した上で適切な価格帯を設定することで、空室リスクを抑えることができます。したがって、アパート経営の収支計画を立てる際に賃料の下落を想定しておくことも大切です。
また、経費の管理も同様に重要です。固定費(ローンや管理委託費など)と変動費(修繕費や広告費など)を見直し、不必要な支出を削減する工夫が求められます。例えば、広告の出し方や管理委託の条件を見直すことで、長期的なコストを抑えられる場合があります。また、LED照明や省エネルギー型エレベーターの導入といった省エネルギー設備を取り入れることで、初期投資が必要でもランニングコストの削減が期待できます。
家賃収入の維持と経費削減の両輪が回ることで、アパート経営の収支バランスが安定し、10年後の持続的な経営の基盤を築くことができるでしょう。
アパート経営のキャッシュフローを安定させる
アパート経営を10年後、20年後と長期的に成功させるには、キャッシュフローの安定化が欠かせません。そのためには、万が一に備える必要があります。例えば、毎月の収益の一定割合を修繕積立や緊急時の資金として確保しておくと、不測の事態にも柔軟に対応できます。
また、空室が続く場合や入居者が決まりにくい場合は、何が原因なのか調査を行い、その要因を突き止めるようにしましょう。例えば、季節的な要因で空室が発生しやすいのであれば、その時期の入居条件や広告の出し方を見直すと良いでしょう。このように要因を突き止めることで、アパート経営のキャッシュフローに効果的な改善策を講じやすくなります。
迅速に対処するには、賃貸管理をしっかりと行っていかなければなりません。賃貸管理の経験がない方や忙しくて管理が難しい方は、信頼のできる管理委託会社へ相談することも検討しましょう。
10年後のアパートの経年劣化への対策
10年後のアパートの老朽化は、多くの方が気になっているのではないでしょうか。10年経つとアパートは老朽化が進み、修繕費用が経営を圧迫する可能性があります。
外壁塗装の補修や給湯器の交換などの大規模な修繕工事が発生する可能性が高く、これを無計画に迎えるとキャッシュフローが悪化します。しかし、修繕スケジュールをあらかじめ立てて費用を積み立てておくことで、これらのリスクを回避できます。また、修繕費用を抑えるための業者選定やメンテナンスの工夫、新築時の設備のグレードを高くすることも経営の質を向上させる鍵です。
ここからは、10年後のアパートの老朽化に備えた具体的な対策方法について解説します。
予算を確保するための修繕計画の立て方
修繕費用はアパート経営の中で最も予測しにくい支出の一つですが、計画的に準備しておくことで不測の事態に対応することができます。
まず、どのくらいで修繕や交換が必要になるのか、また修繕や交換にかかる費用はどのくらいになるのかを把握することが重要です。例えば、外壁塗装や屋根の補修は10年目以降に必要になることが多く、一回あたり数百万円かかる可能性があります。
修繕や交換の費用や頻度が把握できたら、それに応じた金額を積み立てます。価格変動も考慮し、経営開始後も予算の見直しは定期的に行うようにしましょう。
アパートの修繕スケジュールをどう組むか
修繕のタイミングを見誤ると、予算不足や経営の混乱を招く可能性があります。アパート経営で10年後も安定した収益を得るためには、どのようにして修繕スケジュールを組むと良いのでしょうか。
アパートの経年数による劣化状況は定期的な点検で確認し、修繕や交換のタイミングを予測しておきましょう。そうして、修繕や交換が同じ時期に集中しないようスケジュールを分散させることで、大規模な出費のリスクを抑えることができます。また、修繕の規模や緊急性を考慮し、必要に応じて業者と長期契約を結ぶことで、コスト削減や迅速な対応が可能になります。
このような長期的な視点での計画は、10年後も安定したアパート経営を実現する大きな助けとなるでしょう。
10年後もアパートの満足度や魅力を保つには
アパート経営には空室や家賃下落といったリスクが常につきまといます。ここまでは、そのリスクを抑えるための計画の立て方や考え方を解説しましたが、アパートの満足度や魅力度の維持も空室を避ける上でとても重要です。
なぜなら、その物件が魅力的でない場合、どれだけ募集をかけても人が集まりにくく、空室期間が長くなってしまう恐れがあるからです。また、満足度が低いと入居者に長く住み続けてもらいにくく、再び入居者を募集しなければならなくなります。そうなると家賃収入が得られないだけでなく、募集にかかる広告費がかさんでしまいます。
では、具体的にどのような取り組みを行うと良いのでしょうか。
アパートの入居者満足度を高めるための取り組み
入居者満足度の向上には、快適な住環境の提供を最優先で考えなければなりません。
例えば、設備の定期点検を行い、不具合を未然に防ぐことで入居者の安心感を高められます。アパートの防音性を高める、共用部を清潔に保つといった、細やかな配慮も競合物件との差別化につながるでしょう。
なお、共用部の清潔さは管理体制や住民のマナーなどが目に見えてわかるため、入居希望者が物件を見学する際によくチェックするところでもあります。募集をかける際は、その点を改善できるよう積極的に取り組みましょう。
また、迅速なトラブル対応も欠かせません。例えば、水漏れや停電などの緊急トラブルに24時間対応可能な体制を整えることで、入居者の信頼を得られるでしょう。
アパートの収益性を上げる設備の導入やリノベーションも検討する
リノベーションは、家賃下落の際に収益性を向上させる手段の一つです。築年数が経過したアパートは、現代の入居者ニーズに合致したリノベーションや設備の導入が空室率の低減や家賃アップにつながります。例えば、社会人の単身者向けの物件では、宅配ボックスの設置やインターネット無料が好まれる傾向にあります。一方、ファミリー層向けの物件では、広いキッチンや十分な収納スペースのある間取りへのリノベーションが効果的です。
リノベーションや設備導入を行う場合も、修繕スケジュールを立てる際と同様にタイミングを見極めることが重要です。リノベーションのタイミングとしては、退去後の空室期間を活用することで、家賃収入の損失を最小限に抑えることができます。新しい設備の導入は、入居者ニーズが変わってきたと感じたタイミングで行うと良いでしょう。
タイミングを計るためには、定期的にニーズを調査したり、どういった物件や設備が入居者に人気なのかを把握したりしておく必要があります。
10年後、20年後の将来を見据えた不動産投資の考え方
これから不動産投資を始めようとしているものの、さまざまな形態の不動産や投資方法があるため、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回はアパート経営の10年後にフォーカスを当てて解説しましたが、リスクが完全になくなるわけではないので不安が残る方もいらっしゃると思います。
最初は堅実に、なるべくリスクが低い不動産投資をしたいという方には賃貸併用住宅がおすすめです。賃貸併用住宅は、自宅部分と賃貸部分が一つの物件に共存しており、金利の低い住宅ローンを利用できるのが特徴です。賃貸部分の戸数が少ないため、低リスクで始めることができ、ローン負担も少ないことから、不動産投資の一歩として始める方もいらっしゃいます。
本コラムでは、10年後に安定したアパート経営を実現するには、経営や修繕における計画やリスク管理など、多岐にわたる課題に直面する可能性があることをご説明しましたが、賃貸併用住宅にも同様の課題があります。経営におけるこれらの課題は大きな負担となってしまいます。そのような時に頼れるのが、賃貸併用住宅を専門的に取り扱っている弊社はたらくおうちです。
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