賃貸併用住宅のメリット
メリット1
家賃収入ローン負担の軽減とゆとり
最大のメリットは、賃貸部分から得られる「家賃収入」です。これを住宅ローンの返済に充てることで、月々の実質的な負担を大幅に軽減できます。
- ゆとりのある資金計画:毎月の返済負担が減るため、教育費や趣味など生活にゆとりが生まれます。
- 老後の安心:ローン完済後は、家賃収入がそのまま生活資金のプラスとなり、私的年金としての役割も期待できます。
- 低金利ローンの活用:一定条件を満たせば、金利が低く条件の良い「住宅ローン」を利用できるケースが多く経済的に有利です。
メリット2
税務対策(税制優遇)相続税・固定資産税の軽減
賃貸併用住宅は、単なるマイホームやアパート経営に比べて、幅広い税制優遇を受けられる可能性があります。
- 相続税の節税:賃貸部分は「貸家建付地」として扱われるため、土地の相続税評価額が減額されます。
また、「小規模宅地等の特例」が適用できれば、さらに評価額を大幅に下げられる可能性があります。 - 固定資産税の軽減:住宅用地の特例により、土地にかかる固定資産税が更地に比べて最大1/6に軽減されます。
メリット3
将来的な二世帯住宅変化に対応できる柔軟性
ライフステージの変化に合わせて、建物の使い方を変えられるのも大きな魅力です。
- 将来の同居に備える:最初は賃貸として他人に貸し出し、将来的に子供家族との同居が必要になった際、賃貸部分を家族の居住スペースへと転用することで「二世帯住宅」として使えます。
- 相続対策としての活用:子世代に資産として残す際も、収益を生む不動産であるため、維持管理費の負担をかけにくいというメリットがあります。
メリット4
土地の有効活用敷地の価値を最大化
所有している土地や、建て替えを検討している土地のポテンシャルを最大限に引き出します。
- 広すぎる土地の活用:「自宅だけでは土地が広すぎて固定資産税がもったいない」という場合、余ったスペースを賃貸にすることで、土地を無駄なく活用できます。
- 立地の利点を収益に:駅に近い、利便性が良いなど、土地の価値が高い場所に自宅を建てる場合、その立地を活かして収益を得ることで、資産価値を維持・向上させることができます。
知っておくべき
「50%のルール」
賃貸併用住宅を建てる際、最も重要なのが「住宅ローンの適用条件」です。 通常、アパート経営には金利が高めの「不動産投資ローン」が使われますが、賃貸併用住宅は条件を満たすことで、金利が低く条件の良い「住宅ローン」を利用できます。 条件:建物の延床面積の50%以上を「自宅」とすること
※自宅部分が半分未満(賃貸部分がメイン)になると、住宅ローンが使えず、金利の高いローンになる可能性があるため、設計段階でのバランス調整が非常に重要です。
後悔しないために
最初に理解しておくポイント
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入居者との関係・居住性
「同じ屋根の下に他人が住む」という現実への対策
玄関を離す、生活動線を分けるなど、プライバシー確保が必須。特に上下階の「音」のトラブルを防ぐため、水回りの配置や遮音材に配慮しましょう。
程よい距離感が大事。「顔を合わせすぎない」設計にしつつ、緊急時の連絡体制は事前に整えておくのが理想です。 -
資金計画と空室リスク
「家賃収入は保証されていない」という前提を持つ
「自分が住みたい」ではなく「借り手がつく」場所か、周辺の家賃相場や設備を徹底調査しましょう。
数ヶ月の空室でも返済が滞らない予備費を持ち、将来の修繕費(外壁・設備等)も家賃から積み立てる余裕を持った計画が不可欠です。 -
ローン・融資の条件
「住宅ローン」のルールは厳しい
低金利な住宅ローンを使うには「建物の半分以上が自宅」(50%ルール)である必要があります。
通常の住宅より提出書類(収益予測など)が多く、審査も厳格なため、早めの相談が肝心です。 -
業者選び
「賃貸併用住宅のノウハウが豊富」なプロのパートナーを選ぶ
賃貸併用の設計・施工実績が豊富な会社を選びましょう。収支シミュレーションの精度が全く違います。
一括借り上げ(サブリース)は安心材料ですが、賃料の減額リスクや契約解除の条項をしっかり確認してください。
「30年一括」でも「30年同じ家賃」ではありません。 -
賃貸管理の負担
「大家業」を誰がやるか決めておく
管理委託の検討: クレーム対応(深夜の設備故障など)や滞納督促を自分で行うのは精神的な負担が大きいです。管理手数料を払ってでも、管理のプロに任せるのが一般的です。 また、同じ建物に住むからこそ、入居者の質は重要。ターゲットを明確にし、慎重に審査を行いましょう
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マイホームとしての満足度
「収益」に縛られて「住み心地」を捨てない
あくまで「住み心地」を優先。 収益を追うあまり自宅が狭くなったり日当たりが悪くなったりしては本末転倒です。
将来的な子どもの独立や売却の可能性を見据え、20〜30年後も使いやすい・売りやすい間取りを検討しましょう。
賃貸併用住宅でよくある失敗事例
成功の裏には必ず「想定外」の落とし穴があります。
先人の失敗から学び、リスクを最小限に抑えましょう。
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収支空室が続き、持ち出しが発生した
事例
「新築なら埋まる」と楽観し駅から遠い土地に建てた結果、数年後から空室が続出。家賃収入でローンを賄えず、給料から補填する事態になった。
教訓
賃貸併用住宅は「立地」が命です。自分が住みたい場所ではなく、「他人がお金を払ってでも住みたい場所か」というシビアな市場調査が欠かせません。
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騒音入居者の生活音が気になりすぎてストレスに
事例
建築費を抑えるために遮音対策を妥協したところ、夜中に入居者の足音や排水音が響く。逆に、自分たちの生活音が漏れていないかも気になり、自宅なのにリラックスできなくなってしまった。
教訓
構造上の防音性能を上げるのはもちろん「寝室の真上に水回りを配置しない」など、間取りの工夫がプライバシーを守るカギとなります。
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売却売りたい時に、なかなか売れない
事例
急な転勤で売却を検討したが、自宅部分が広すぎて投資家には不人気。一方で、一般の購入希望者からは「他人が住んでいる家はちょっと…」と敬遠され、相場より大幅に下げないと買い手が見つからなかった。
教訓
賃貸併用住宅は特殊な物件です。将来売却する可能性があるなら、「収益物件としての利回り」と「マイホームとしての魅力」のバランスを、プロと相談しながら設計する必要があります。
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管理入居者とのトラブルに発展した
事例
費用を浮かすために自主管理にしたが、入居者から「電球が切れた」「隣がうるさい」と直接玄関に苦情を言いに来られるようになり、精神的なストレスに。
教訓
同じ建物に住むからこそ、管理会社を間に挟んで「物理的・心理的な距離」を保つことが、穏やかな生活を維持するために非常に重要です。
まずチェックすべき「10のチェックリスト」
賃貸併用住宅に踏み出す前に、以下の項目がクリアできているかセルフチェックしてみましょう。
立地・ニーズ
- 建設予定地は、駅から徒歩10〜15分圏内か
- 周辺に競合となるアパートが多すぎないか
- そのエリアの賃貸需要(単身向け、ファミリー向けなど)を把握しているか
資金・ローン
- 自宅部分の面積が全体の50%以上を確保できているか(住宅ローン利用の場合)
- 家賃収入が「ゼロ」でも、数ヶ月はローンを返済できる貯蓄があるか
- 10〜15年後の大規模修繕費用を積み立てる計画があるか
設計・ライフスタイル
- 家族全員が「同じ建物に他人が住むこと」に同意しているか
- 自宅部分の間取りや日当たりに、納得できない妥協をしていないか
- 玄関やバルコニーの配置など、プライバシーに配慮した設計案があるか
パートナー選び
- 依頼先(ハウスメーカー等)は、賃貸併用住宅の施工実績が豊富か
はたらくおうちの事例紹介
賃貸併用住宅のよくある質問
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フラット35は使えますか?
原則として、利用は難しいケースが多いです。
賃貸併用住宅は、投資用物件とみなされる可能性があり、フラット35の利用はハードルが高くなります。
そのため、民間金融機関の住宅ローンを前提に資金計画を立てるケースが一般的です。 -
賃貸併用住宅は、音トラブルが起きやすいですか?
設計や構造次第で、リスクは大きく変わります。
同じ建物に他人が住む以上、音の問題がゼロになることはありません。
防音を前提にしない設計や、上下階で生活が重なる間取りの場合、不満が出やすくなります。
そのため、建築段階での判断が非常に重要になります。 -
入居者が決まらなかったらどうなりますか?
空室リスクは、立地や計画内容で大きく変わります。
家賃設定や間取り、募集方法によって結果は左右されます。
賃貸併用住宅では、建ててからではなく、建てる前の計画が重要です。 -
賃貸部分を広くすれば、収益は増えますか?
必ずしも、そうとは限りません。
賃貸面積を増やしても、家賃が下がったり、決まりにくくなったりすると、結果的に収益が安定しないこともあります。
収益は面積ではなく、バランスで決まります。 -
中古で賃貸併用住宅を探すことはできますか?
探すことはできますが、流通は多くありません。
収益性の高い賃貸併用住宅は、オーナーが長く保有するケースが多く、市場に出ることは限られます。
また、中古物件は立地や間取りなどに理由がある場合もあるため、慎重な見極めが必要です。