「利回りって結局、何%あればいいの?」
不動産会社の資料を見るたびに数字が並んでいるのに、それが良いのか悪いのか判断できない。
アパート経営を検討しているとき、そんなモヤモヤを感じたことはないでしょうか。
結論からお伝えすると、判断基準はシンプルです。実質利回りで最低3%・理想5%以上を目安に持っておけば、物件選びで迷うことはなくなります。
この記事では、利回りの基本的な意味から計算方法・相場・注意点まで、アパート経営に必要な知識をひとつずつ整理します。数字の読み方さえ身につけば、物件選びの迷いは大きく減ります。
まずは「利回りとはどんな指標なのか」から確認していきましょう。
アパート経営における利回りとは?

利回りとは、投資した金額に対して1年間でどれだけの収益が得られるかを示す指標です。アパート経営では「物件購入にかけた費用に対して、家賃収入がどのくらいの割合になるか」を表します。
この数字が大きいほど効率よく収益を上げられることを意味しますが、単純に「高いほど良い」とも言い切れません。その理由は後の章で詳しく解説します。まずは利回りの種類と計算方法を押さえておきましょう。
知っておくべき3種類の利回りと計算方法
アパート経営でよく使われる利回りには、3つの種類があります。
①想定利回り
全室が埋まっている満室状態を前提として計算する利回りです。空室が出ても収入がある想定で計算するため、実態より高めに出やすい点に注意が必要です。新築物件や売り出し中の物件でよく使われます。
想定利回り(%)= 年間家賃収入(満室想定)÷ 物件購入価格 × 100
②表面利回り(グロス利回り)
想定利回りと同じく諸経費は含みませんが、実際の入居状況をもとにした家賃収入で計算する点が異なります。空室があればその分収入が減るため、想定利回りより低い数字になります。不動産会社の広告に掲載される利回りは、ほとんどがこの表面利回りです。
表面利回り(%)= 年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100
③実質利回り(ネット利回り)
管理費・修繕積立金・固定資産税・保険料などの諸費用を差し引いたうえで計算します。想定利回りや表面利回りと比べると計算は複雑になりますが、その分実際に手元に残る収益に最も近い数字です。
表面利回りだけを見て物件を購入すると、管理費・修繕費・税金を差し引いた後の手残りが想定より大幅に少なくなるケースがあります。
「利回り6%の物件を買ったのに、実際にはほとんど手残りがない」という事態を防ぐためにも、最終的な経営判断には実質利回りを使うようにしましょう。
実質利回り(%)=(年間家賃収入 − 年間諸経費)÷(物件購入価格 + 購入時諸費用)× 100
表面利回りは「物件を比較するときの参考値」、実質利回りは「実際に経営できるかどうかの判断基準」と使い分けるのが基本です。
アパート経営の利回り相場・目安は?

利回りの計算方法が分かったところで、次に気になるのが「何%あれば合格なのか」という基準です。新築・中古・立地によって相場は異なりますが、大まかな目安を知っておくことで物件比較がスムーズになります。
理想の利回りと最低ラインの目安
一般的に、アパート経営における利回りの目安は以下のとおりです。
| 種類 | 最低ライン | 理想 |
|---|---|---|
| 実質利回り | 3% | 5%以上 |
| 表面利回り | 5% | 6%以上 |
実質利回り3%を下回ると、ローン返済・諸経費を差し引いた後の手残りがほとんどなくなるケースが多く、空室や修繕が重なるとキャッシュフローがマイナスになるリスクがあります。
5%以上の実質利回りが確保できれば、ある程度の余裕を持って経営を続けられる水準といえます。「この数字を下回るなら慎重に検討する」という判断基準として持っておくと便利です。
新築・中古別の相場
新築と中古では、利回りの水準が異なります。
新築アパート
表面利回りの目安は5〜6%前後です。建物が新しい分、修繕リスクが低く、入居者を集めやすいメリットがあります。その分、物件価格が高くなるため利回りは中古より低めになります。
中古アパート(築20年以下)
表面利回りの目安は6〜7%前後です。新築より購入価格が低い分、利回りは高めに出やすくなります。設備の状態は物件によって差がありますが、大規模修繕が必要になるまでの猶予がある場合も多く、新築と築古の中間的なリスク水準といえます。
中古アパート(築20年以上)
表面利回りの目安は8〜10%台が中心で、立地・物件状態によって7%台〜10%超まで幅があります。購入価格が低い分、利回りは高く出やすいですが、給排水管や外壁など大規模修繕の時期が近づいているケースも多く、修繕費や空室リスクが高まる点に注意が必要です。
地域別(都市部・地方)の傾向
立地によっても相場は大きく変わります。
都市部(東京・大阪・名古屋など)
物件価格が高いため、表面利回りは4〜6%台に収まることが多いです。ただし人口が集中しているため空室リスクが低く、安定した家賃収入を期待しやすい特徴があります。
地方(郊外・地方都市)
物件価格が低い分、表面利回りは7〜10%以上になるケースもあります。しかし人口減少や需要の低下により空室が長期化するリスクも高まります。利回りの高さだけで判断せず、エリアの人口動態や賃貸需要を必ず確認しましょう。
アパート経営の利回りシミュレーション

「計算式は理解した、でも実際の数字でイメージしたい」という方のために、具体的なシミュレーションを見ていきましょう。
表面利回りの計算例
以下の条件で計算してみます。
- 物件購入価格:7,000万円
- 月額家賃収入:36万円(全6室 × 6万円)
年間家賃収入 = 36万円 × 12ヶ月 = 432万円
表面利回り = 432万円 ÷ 7,000万円 × 100 ≒ 6.2%
この場合、表面利回りは6.2%です。広告上の数字としては悪くない水準です。ここから諸経費を差し引いた実質利回りを計算してはじめて、投資判断に使える数字が見えてきます。
実質利回りの計算例
同じ物件で、年間諸経費を計算に加えてみましょう。
- 管理費(家賃の5%):約22万円
- 修繕積立金:15万円
- 固定資産税:20万円
- 火災保険:3万円
- 購入時諸費用(仲介手数料・登記費用など):280万円
年間諸経費合計 = 22万円 + 15万円 + 20万円 + 3万円 = 60万円
実質利回り =(432万円 − 60万円)÷(7,000万円 + 280万円)× 100
= 372万円 ÷ 7,280万円 × 100 ≒ 5.1%
表面利回り6.2%に対して、実質利回りは約5.1%まで下がります。この実質利回り5.1%が、「経営実態に近い数字」です。表面利回りだけを見て判断すると、実際の手残りが想定を大幅に下回るケースがあるため注意が必要です。
新築・中古それぞれのシミュレーション
年収500万円の会社員Aさんが物件購入を検討している場面を想定してみます。
ケース①:新築アパート(7,000万円)
- 月額家賃収入:36万円(全6室 × 6万円)
- 年間諸経費:約60万円
- 表面利回り:約6.2%
- 実質利回り:約5.1%
年間家賃収入432万円 − 年間諸経費60万円 = 手残り372万円
手残り372万円 − 年間ローン返済額278万円(金利2%・35年・借入7,000万円)= 年間収支 +94万円
収支は年間約94万円のプラスとなり、ある程度の空室や修繕にも耐えられる水準です。
※本シミュレーションは金利2%(メガバンク・地方銀行の良好な借入条件を想定)で試算しています。金利が3%の場合、年間返済額は約320万円となり収支は約+52万円になります。
ケース②:中古アパート(4,000万円・築25年)
- 月額家賃収入:28万円(全8室 × 3.5万円)
- 年間諸経費:約85万円(修繕積立を厚めに確保)
- 表面利回り:約8.4%
- 実質利回り:約6.0%
実質利回り =(336万円 − 85万円)÷(4,000万円 + 160万円)× 100 ≒ 6.0%
年間家賃収入336万円 − 年間諸経費85万円 = 手残り251万円
手残り251万円 − 年間ローン返済額159万円(金利2%・35年・借入4,000万円)= 年間収支 +92万円
数字上はケース①と近い収支ですが、築古のため大規模修繕が5〜10年以内に発生する可能性があります。修繕費の積立を十分に確保した運用計画が欠かせません。
同じ会社員でも、資金力・リスク許容度・運用目的によって最適な物件は変わります。利回りの数字はあくまで判断材料のひとつです。
エリアの賃貸需要・築年数・修繕履歴・ローン条件なども合わせて総合的に判断することが、失敗しないアパート経営につながります。
アパート経営で高利回り物件は本当にお得なの?

「利回りが高い物件を買えば儲かる」と考えてしまいがちですが、高利回りには必ず理由があります。数字だけに飛びつくと、予想外のトラブルに巻き込まれる可能性があります。
利回りだけで判断するリスク
高利回り物件には、以下のようなリスクが潜んでいることがあります。
空室リスクの増大
利回りが高く見える物件は、そもそも家賃を下げないと入居者が集まらないエリアや物件であることが多いです。空室が続けば家賃収入はゼロになり、利回りの計算自体が成り立たなくなります。
購入前に周辺の賃貸需要をしっかり確認しておくことが欠かせません。
修繕費の急増
築古物件では、給排水管・屋根・外壁などの大規模修繕が突然必要になることがあります。1回の修繕で数百万円の出費になるケースも珍しくなく、それまで積み上げてきた家賃収入を一気に消してしまう事態にもなりかねません。
高利回りの裏に潜む修繕リスクは、購入前に必ず見積もっておきたい項目です。
金利上昇リスク
変動金利でローンを組んでいる場合、金利が上昇すると返済額が増え、手残りが大きく減少します。表面利回りが高くても、金利上昇後の実質収支がマイナスに転じるケースがある点は見落としがちなリスクです。
実際に日銀は2024年3月のマイナス金利解除以降、段階的に利上げを進め、2026年4月時点の政策金利は0.75%の水準にあります(日本銀行「2025年12月金融政策決定会合での決定内容」)。今後も上昇が見込まれており、変動金利を選ぶ場合は金利上昇後のシミュレーションを必ず行うようにしましょう。
固定金利との比較も含め、資金計画は余裕を持って立てておきましょう。
<出典:日本銀行「2025年12月金融政策決定会合での決定内容」>
高利回りになる物件の裏側
実際に「高利回り」と表示される物件には、以下のようなパターンが多く見られます。
- 立地が悪い:最寄り駅から徒歩20分以上、周辺に生活施設が少ないなど
- 築年数が古い:築30〜40年超で設備が老朽化、修繕リスクが高い
- 借地権物件:土地の所有権がなく、将来の売却や担保評価が難しい
- 事故物件・欠陥物件:告知事項があることで家賃を大幅に下げている
- 過去に問題があったエリア:再開発や人口流出が見込まれる地域
「なぜこの物件はこんなに利回りが高いのか」と疑う視点を持つことが、失敗しないアパート経営の第一歩です。
具体的には以下の3点を確認する習慣をつけておきましょう。
- 周辺の賃貸相場と比較する:近隣の同条件物件と家賃を比べて、极端に安く設定されていないか確認する
- 築年数と修繕履歴を調べる:直近の大規模修繕がいつ行われたか、次の修繕時期の見込みを確認する
- 空室率・入居実績を確認する:現在の入居状況だけでなく、過去の空室期間や入退去の頻度を確認する
この3点で「異常に高い利回り」の理由の大半は説明がつきます。
逆にいえば、これらを確認したうえで問題がなければ、本当に割安な優良物件である可能性もあります。
アパート経営の利回りを高めるにはどうすればいい?

空室対策・コスト管理・建築コストの最適化という3つの視点から、利回りを改善するアプローチを紹介します。
空室対策で収入を安定させる
利回りを下げる最大の要因のひとつが空室です。空室期間が長くなればなるほど、実質的な年間収入は下がり、利回りも低下します。
入居率を高めるための主なポイントは以下のとおりです。
- 立地の選定:駅近・スーパー・病院など生活利便施設へのアクセスが良い物件は入居需要が安定しやすい
- 設備の充実:宅配ボックス・オートロック・独立洗面台など、入居者が重視する設備を整える
- 家賃設定の見直し:相場より高すぎる家賃は空室長期化の原因。定期的に周辺相場と比較する
ただし、立地と設備は購入後に変えにくい要素です。空室対策の効果を最大化するためにも、物件選びの段階からこれらの条件を意識しておくことが重要です。
コスト管理で支出を抑える
実質利回りを改善するためには、支出の最適化も欠かせません。
管理委託料の見直し
管理会社に支払う委託料は家賃の3〜5%(最頻値は5%)が相場です(※日本賃貸住宅管理協会「日管協短観」)。建物全体の巡回清掃・設備点検まで含む包括委託の場合は5〜8%になるケースもあります。複数社を比較検討し、業務範囲とコストのバランスが取れた会社を選ぶことが重要です。
<出典:日本賃貸住宅管理協会「日管協短観」>
修繕費の計画的な積立
突発的な修繕に備えて、毎月一定額を積み立てておくことが重要です。修繕を先送りにすると、老朽化が進んで修繕費が膨らむだけでなく、入居者の退去にもつながります。
新築時の建築コスト最適化
新築でアパートを建てる場合、建築費を抑えることで購入コストが下がり、利回りが改善します。ただし、安さを優先するあまり品質が低下すると、修繕コストの増大や入居率の低下につながるため、品質とのバランスが重要です。
アパート経営は賃貸併用住宅で利回りを有利にできる?

アパート経営の利回りを語るうえで、見落とされがちな視点があります。それが「どのローンを使って購入するか」です。
一般的なアパート経営では、アパートローン(金利2〜4%程度)を利用します。
一方、自宅を兼ねた賃貸併用住宅として購入する場合は、住宅ローン(変動金利:0.6〜1.1%程度、全期間固定〈フラット35〉:2.4〜2.5%程度 ※2026年4月時点)が適用できます。なお、日銀の利上げにより金利は上昇傾向にあるため、最新の金利は各金融機関にご確認ください。
この金利差は、実質利回りに直接影響します。たとえば5,000万円・35年ローン(元利均等返済・ボーナス返済なし・全期間固定金利を想定)の場合、金利2%では年間返済額が約199万円になるのに対し、金利1%では約169万円。その差は年間約30万円です。この30万円がそのまま手残りの増加、つまり実質利回りの改善につながります。
賃貸併用住宅とは、自分が住む自宅部分と、入居者に賃貸する部分を一つの建物に組み合わせた住宅形態です。「はたらくおうち」では、この賃貸併用住宅を活用したアパート経営のメリットとリスクについて、専門スタッフが無料でご相談を承っています。
「住宅ローンを使いながら家賃収入も得たい」「自宅を資産として活用したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
<出典:住宅金融支援機構「”金利のある世界”でどう変わる?これからの住宅ローン選びを考えよう」>
まとめ:利回りの数字が分かれば、判断は怖くない
この記事で解説した利回りのポイントをまとめます。
- 利回りには「想定・表面・実質」の3種類があり、経営判断には実質利回りを使う
- 目安は実質利回り最低3%・理想5%以上
- 高利回り物件には空室リスク・修繕リスク・立地の問題が潜んでいることが多い
- 利回りは購入後も「空室対策」と「コスト管理」で改善できる
- 賃貸併用住宅を活用すれば、住宅ローンの低金利でアパート経営の利回りを有利にできる
「数字が難しそう」と感じていた方も、基本の計算式と判断基準を持つことで、物件選びの視点が大きく変わります。まずは専門家に相談しながら、自分に合った運用スタイルを見つけることが大切です。
賃貸併用住宅について、まずは無料でご相談ください
アパート経営×住宅ローン活用に興味のある方は、「はたらくおうち」へお気軽にお問い合わせください。